シェイミとエルダン ( No.52 ) |
- 日時: 2016/10/04 21:50
- 名前: ユージ ID:uSksmA0A
- 若いノールの目が手紙に向いた一瞬の隙を突いて、あなたは壁際に駆け寄り、蜘蛛の姿になって天井まで登りました。
眼下では、手紙を手にしたノールが左手の通路へ消えていきます。
洞窟の外で待機しているエルダンの目の前を横切った蜘蛛が、みるみるうちにシェイミの姿に戻ります。 「首尾は?」 「誰に聞いてる?」 そう嘯くシェイミの視線の先、洞窟の中から怒りの咆哮が響き渡ります。天幕の中から、何事かと驚いた人間達がもそもそと出てきました。
洞窟の奥から若いノールを伴って出てきた、見るからに怒り狂ったノールが配下に命じます。
エルダンには分かりますが、ノール語です。 「おマエたち、コイツらうラぎりモノ!はらわタをくってシマえ!」
ノール語が分からぬ人間達が訝しげに顔を見合わせていますが、唯一リーダーが顔を青ざめ、 「マ、まちガイ!ウラギリ、ない!missテいく、それ!」 かたことのノール語で潔白を訴えます。
これを好機とみたエルダンが人間側に移動し、愛弓に矢をつがえて若いノールに狙いを定めます。 限界まで引き絞った矢のうち、2本目は外れましたが、1本目は狙い過たず若いノールの瞳を射抜きました。 そして、3本目の矢が若いノールのすぐ隣にいたノールに突き刺さります。
この攻撃で倒れたノールはいませんが、急襲に反応したノールたちが人間に襲い掛かります。 また、洞窟から出てきたノールの愛人と思われる固体の影が伸び、これも人間に襲い掛かりました。 寝入りたてで大して武装もしていなかった人間側は、抵抗も空しく誰もが目を背けたくなるような凄惨な殺戮の犠牲者となりました。 ナラグの拠点は、今はただ湿った咀嚼音が響くだけの場所と化しています。
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