シナリオノート ( No.194 ) |
- 日時: 2017/10/17 00:58
- 名前: らぱんどら ID:.mCcDoO.
- ●シナリオノート
今回のDAC2017・2日連続卓 “A Paladin in Hell, Final Quest”は 本来のタイトルのあとに“Final Quest” とついているように、私にとって DACの系譜となるAMC2000から12回目になるD&Dコンベンション 最後のセッションにしようということもあり、 色々思うこと、そしてやりたいことが凝縮した形となっています。
最後ということで20レベル、 私の所属しているA.D.D.Aはその時期におけるD&Dの最新版を 常にプレイングすることにしているので システムはD&D5版ということは決定していました。 シナリオ(というか題材)をどうするかはいくつか候補があったのですが、 色々な理由から2版のシナリオ“A Paladin in Hell”を実地することとしました。
実践したいこと、やりたいことの大きな目標の一つは、 シナリオ参加者全員がベストを尽くした結果、 大成功・大団円にいたるというものがありました。 パーティプレイであるD&Dにおいてそんなことは当たり前だという意見も あると思いますが、これが意外に難しい。 そしてそれが高レベルだなおさら難しいというのは D&D(そしてRPG)のシステムの妙なところです。 実のところをいえば、優れたリードオフマン (モンティ氏いう所のパーフェクトプレイヤー)が数人と 卓越したDMがいれば、D&Dにおいては大抵成功をおさめることができます。 これはスポーツでもしばしばあることですが、役割分担以外にも 色々な要素がからみ、そして“構成力”“プレイヤー力”“人間力”“経験値” といったところが大となる高レベルセッションにおいてはなおさらです。 今までのDACにおいても、成功はしているのですが、 全てのプレイヤーがベストを尽くして…というのは なかなかできれず、いはゆるMVP的なPCがリードし勝利を引き寄せるという形が 多かったのは事実です。 また私どものシナリオが複数卓複数DMであることもその原因であるのは 確かです。 複数卓における駆け引き、メインとサブというのも、 A.D.D.Aの存在理由の一つなのでいままではそれを前面押し出していたのですが 今回はそんなこともあり、私のソロでということになりました。 (余談ですが複数DMならおそらく18−100レベルセッションで 有名なH4になっていたことでしょう(笑))
やりたいことが明確化されたため、 題材的に冒険者のあるべき理想を体現するテーマをもったシナリオだということ。 2つ目は、日本語訳が存在すること。 そしてもちろん高レベルということでめでたく “A Paladin in Hell”が選ばれたわけです。
本来2版で英語製品ですが、今回協力してくれた 鯛足烏賊さんの手によって3.5版にコンバートしたものがWeb上に UPされていますので、参加された方は一読していただければ、 私がどこをどう変更したのが見て取れると思います。
シナリオベースとして、やはり協力をあおいだのが ハイランスさんです。
ハイランスさんのリプレイ http://www5a.biglobe.ne.jp/~hilance/pinhtop.htm は有名ですが、これを参考にしつつも、 以前(別の機会に)お聞きしたアイデア… “Fate”ネタを取り込むことが今回協力をあおいだ大きな点です。
シナリオのプロットとして地獄で圧倒的な不思議オーラをまとい 地獄の軍勢相手に無双と続ける聖騎士というのは、 それはそれで英雄譚のさいたるものですが、 そのソース(パワーやルールやバックグラウンド)を説明するのに “英霊”と“令呪”だからというのは 分かりやすい(Fateを知っている人には)話だからです。
余談ですが、実が私は“Fate”はそれほど詳しくなく ソフトでいえば最初の“Fate/stay night”のセイバールートしか クリアしておらず昨今のいはゆるメディア化したものは殆ど知らないので 大いに誤認している可能性も高いのですが…。
それはさておき題材とソースはできたので、 次はそれをD&D/グレイホークワールドにコンバートします。
グレイホークには聖杯(チャリス)が存在し、それを守護する一派が ナイツ・オブ・チャリスと呼ばれます(3版におけるカリス軍団ですね)。 これはシールドランドの騎士団ホーリーシールディングの一派でもあるため 舞台はシールドランドの首都アダマンフォートとなりました。 本来の聖杯(チャリス)は聖なるものであったのですが、 これを悪役…3.5、4版から5版にかけて明確に悪の根源として 頭角を現してきたオビリス・ロード達が世界を歪め破滅する道具として つくりかえて今にいたったのが“聖杯”だということになります。 とはいえ本来の“聖”なる“杯”の力と意思ももつので、 それをパーティが具現化できれば、聖杯は本来の力を取り戻し、 歪みや呪いは浄化されるということにするのが、 シナリオの終着点の一つとなりました。
それ以外にグレイホークのシナリオに“フェイト・オブ・イスタス” という(これまた古い1版の)シナリオがあります。 これはイスタス神 (今回アズライール/ハサンが信仰していた) が世界のさまざまな冒険者のクラス一つ一つにクエストを与え その結果が次の版(2版に)反映されるという、 微妙にアレなモジュールなのですが、 そこからアイデアをもらい参加クラス7人にそれぞれ 目に見えるかたち/見えないかたちで“クエスト”を与え中間目標とすることで それをクリアする形で全員参加、全員で大団円を目指すという形をとりました。 これは皆さん、なんなくクリアされたのですが、参加者の方々には、 「あぁあそこがそうなのか」 と思っていただければ幸いです。
本来のシナリオは2版、鯛足さんの手により3.5版化、 これにWeb上でPathfinder 版が入手できたので、 それを併せて今回の5版にコンバートしてあります。
最後の敵はアスモデウスその人のデータに、 タリズダン本来の力(虚無・フォース・狂気)を付与した結果、 あのような戦闘力(パワー)となりました。
私はマスタリングの常として、 “戦闘における駆け引き”と大事にしますが、もうひとつ “NPCとの対話”を大切にしています。 今回は情報収集の結果、膨大なNPCが出てきたのですが、 彼らがそれぞれ個性を出し、最後の大団円を迎えるのに、 それぞれの役割というかピースを果たすことができたのは DM的にもシナリオ的にも非常によかったと思います。
MTG等は準備7割、実践3割といいますが、 今回は準備とサポートが万全だったのも成功に至った要因だと思います。 とくに今回はテストプレイを2回、とくに後半は参加されたキャラクターベースの キャラクターを使ってもらってのテストプレイとなり、 これがDM的にも個々のプレイヤーにもフィードバックされたのは 大きいのではないかと思います。 本来なら自分のやりたいこと(ヘクスブレード×5(苦笑))を封印し 社会人として貴重な時間をDMと他者のために使ってくださった テストプレイヤーの方々には改めて感謝を。
シナリオを提供してくれた鯛足烏賊さん、 メインストーリーのアイデアを頂いたハイランスさん、 にも感謝を。
この場を与えてくれたDACスタッフにも感謝を。
そしてなにより、このセッションに参加し死力を尽くし成功を勝ち取った (当日仕事ででれないにもかかわらず協力してくれたハリクも含め) 参加者の方々に感謝を。
ありがとうございました。
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