=黄金の刻=OP04-06 ( No.75 ) |
- 日時: 2015/10/04 22:32
- 名前: 位坂敏樹(misaka) ID:Y1qF6NQc
- OP4.忌まわしき貌/カナン=アノニマス(PL:アクタビン)
しかし、カソミールの港は現在ストライキを起こしている為入港出来ず、最寄りにある港町 リドンポート(Ridonport)で船を降りることとなった。宿を取った一行は、久し振りの揺れない地面を 堪能していた。
部屋に入ったカナンは潮風に見舞われ塩辛くなった身体を洗い流すために早速湯浴みの為の大たらいに 湯を張り、仮面を外し、そこで改めて水面に映る醜く爛れた己の顔を見た。半年前、セレン川の河口付近に 流れ着き、目覚めた時には多くの己に関する記憶を失っていたカナンだが、更に不可解なことに水鏡で見た 己の貌に自身でも正体不明の嫌悪感を抱くことを避けられなかった。結果、半狂乱となり己の顔に焼けた刃 を突き立て切り裂いたのである。そこかしこに傷が残る肌を湯で洗い流し、豊かな躯を使い古された布で 拭き取ると、再び仮面を付け、皆と夕食の待つ酒場へと降りていった。
先方の定めた刻限に間に合わせるには、明日早くにこの町を出発しなければならず、陸路の旅も少なからず 厳しいものとなるだろう。君の容姿と手枷の付いたままの手足にぎょっとする周囲の客達を横目に、仮面を ずらし器用に食事を口に運びながらカナンはぼんやりとそんなことを考えていた。
OP5.灰色の刃/アルチュヌス(PL:千尋) 日程の都合で強行軍となったことを除けば、リドンポートからカソミールへ向けての旅は天候にも恵まれ ここまで順調そのものだった。このまま行けば明日にはカソミールへと到着できるだろう。
アルチュヌスが野営の持ち回りの見張り番となった深夜、外套と身体にきつく巻き付け、身を縮こませ ながら古びたソートゥース・サーベルを抱きかかえるようにして晩秋の寒さに耐えていた。この武器は 気が付いた時から君の側にあり、何故かあらゆる強化に全く反応せず、灰色の鉄塊、なまくらそのもの だったが不思議と決して手放すことは無かった。
そして夜も更けた頃、周囲に複数の気配を感じた君は剣を取り仲間達を起こそうと立ち上がった。
OP6.灰色の夢/レイン・ナーサスク(PL:まげ=えりくさ) 「お目覚めかしら、お姫様?」 レインが意識を取り戻すと、そこは黴臭い地下室だった。自分の周囲に何人もの人が居て、ねっとりとした 蠱惑的な声で自分を挑発する相手が女性だというのは理解るが、目隠しをされており相手の姿は見えない。 手首足首には繋がれた違和感があり、動かそうとするとかちゃりと鎖が鳴った。 「その枷はニダルから取り寄せた特注品よ。今度こそ逃がしはしないわ」 くい、と顎を持ち上げられ、目隠し越しでも相手が此方の顔を覗き込み、嗤っているのが理解る。周囲からは 血の臭いが濃く漂い、先程迄繰り広げられていた戦闘の凄惨さを物語っている。 「私はこの光景が初めてのものじゃないと知っているのよ。それで、1つ質問があるのだけれど…」 そう、この光景は初めてじゃない。君達は敗北し、囚われの身となった。目隠しがずり下ろされ、角の 生えた女性の美貌、その額に赤く輝く瞳が君を見ている。周囲には折れたソートゥース・サーベル、 割れた仮面、砕けた大剣、切り落とされたライオンの首、そしてぞんざいに投げ捨てられた時計の小片が 転がっていた。歪んだ笑みを浮かべた女が君の耳元に唇を近づけ、囁くように尋ねた。 「それで、お前は**に一体何を願った?」 その瞬間、世界が灰色に染まり、レインの意識は途絶えた。
アルチュヌスに揺り起こされ、レインは深夜に目を覚ました。見れば周囲では先に起こされたらしき エステル達が急ぎ鎧を着込んでおり、敵の気配が近いことを教えてくれた。先程見た夢らしきものは 最早記憶にも曖昧で思い出すことすら難しい。一瞬、無様に寝込みを襲われ、屍を曝す仲間達の姿が 見えたが、瞬きの間にそれも消えた。
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